塗籠日記その弐

とりふねです。ときどき歌います。https://www.youtube.com/user/torifuneameno 堀江敏幸・宮城谷昌光が好きです。

トウキョウソナタ

どこを見ても褒め言葉ばかりだが、わたしは(キュアとかすきだったので。期待しすぎたか?)なんだかなー、だった。必ずしも映画にリアリティをもとめるものではないが、この映画にはもっと重たいリアルがほしかった。キョンキョン、女優としての魅力は大きいのだが、まず平凡な家庭の「母親」というところに着地しない。グーグーの役はよかったのになー。香川照之は好きでとてもとても上手いのだが、あまりにもうますぎてああいう役がはまりすぎてしまって予定調和。おにいちゃんのなりゆきがいきなりで、腑に落ちない。下の子の子役はとてもよかったが、いきなり天才少年な設定と、まったくピアノをやっていなかった子があの短期間にドビュッシーの「月の光」をひいてしまうという展開にずっこける。ああいう有名な曲をラストで使うのもコテコテでさっぱり入れなかった。役所広司もおもしろいが、この作品の中ではひどく唐突だし過剰。わたしにとっては、描かれているものより作品の構造というかなりたちそのものが「不協和音」な感じだった。随所に笑いどころがあってホームコメディ要素は楽しめたが、とにかく世間の高評価がよくわからない映画オンチなわたしでした。