とある本
*1を読んでいたら、1933年2月2日フランスで起きたクリス
ティーヌとレアのパパン姉妹が、停電の中で雇い主のランスラン夫人とその娘の両の目を生きたままくりぬき、ハンマーでの体を打ちのめし、刃物で切り裂いて惨殺したという事件の記述があった。二人はこのあと道具を洗い、身を浄め、同じベッドに横たわったという。「ひどいことしちゃったわね!!」というのが二人の交わした最初の言葉だった。この部分を読みながら、なんとなくおそろしく昔
*2に読んだ(そして、その、自分で自分の首を絞めていくような展開が気に入っていた、手袋やレースのイメージが生臭く陰惨なものとしてよみがえる)
ジャン・ジュネの「女中たち」を思い出していたら、すぐ次のページでその「女中たち」にふれていた。パパン姉妹は「女中たち」のモデルだったのだ。びっくりしたなーもう。以前、この戯曲を実際に上演したら、と頭の中で考えていたことがあった。そのころのキャスティングは、当時札幌で大きな活動をしていた劇団
アレフ(宗教団体ではない)の役者M氏と劇団の主宰者のM氏と、知り合いの役者のN氏であった。もちろん私の脳内での上演に終わったが。
*3今日地下鉄で件の本を読みながら今の札幌の若い役者さんでキャスティングしたら、と考えた。まず一人はANDのKくん。そして捨て犬のSさん。あと一人は誰だろう。衣装はじゅうぶんに予算をとってゴージャスに。メイクはしない。場所は前の中村楽気店(今は
スピリチュアルラウンジっていうのかな、ライブハウス)。ステージを囲むように客席。ワンドリンク付きで追加オーダーオーケー。頭の中で新しい「女中たち」の幕が上がった。いちどは現実のものにしてみたい気もするが。いつも夢想で終わるな。
ところで、「はまぞう」でさがしても私の持っている文庫のジャン・ジュネの「黒んぼたち・女中たち」が出ないわ。絶版かしらん。