塗籠日記その弐

とりふねです。ときどき歌います。https://www.youtube.com/user/torifuneameno 堀江敏幸・宮城谷昌光が好きです。

父の不在・不在の父

先日お酒を飲みながらこんな話が出た。このフレーズが別な文脈でも気になるので、貼付けておく。

タケノコご飯を食べているうちに、不意に「『冬ソナ』を見て泣く人間」と、村上春樹ファンは「けっこうかぶる」のではないかというアイディアを得る。
無根拠な妄想とも言えない。
というのは、先日書いたとおり、村上春樹ワールドは「父のいない世界で息子はどうやって生きるか?」という問いをめぐる物語であり、『冬ソナ』の作劇術もやはり「父を持たない息子」と「父を持たない娘」が、「父の不在」と「父の顕現」が織りなす無数の出来事に翻弄される姿を描くところにあったからである。
チュンサンとユジンがなかなか結ばれないのは、構造的にはつねに「不在の父」が、まさに不在であるがゆえに「存在するとは別の仕方で」彼らにかかわってくるためである。
内田樹の研究室 http://blog.tatsuru.com/archives/001712.php