「パフューム ある人殺しの物語」
いやーおもしろかった。星五つ。一緒に観たおともだちとも話したのですが。四つ、五つと味わいポイントがかわって行きます。原作は読んでいないのですが、この映画の、シリアスな中にもふしぎなユーモアのある、それでいてなにか根源的なものをずどーんと感じさせる寓話性は、イタロ・カルヴィーノの「まっぷたつの子爵」を憶い出させました。舞台で「ハムレット」を演じ、見出されたというベン・ウィショーのもの凄さ。(ちょっと「ひじき」の佐々木蔵之介を憶い出す空虚と熱が同居するような眼の光。汚れのなさ。もうれつな集中。)ダスティン・ホフマンのかろみ。悪役じゃなくても素敵なアラン・リックマン、でも娘にむける愛情は十分エロティック。犠牲となる女性(少女)たちの、物語の寓話性を損なわない、清冽な美しさ。音楽もとても気に入りサントラを購入しました。今までサントラ録音をタブーとしてきたベルリン・フィルがはじめてその禁を破って演奏したものとのことで、香りの出ない映画から香りを、ことばの少ない主人公から、かれの、嗅覚を主とする感覚(世界を受け止める受け止め方)を描き出すのに、一役も二役も買っていました。特に、プラム売りの少女を追いかけるシーンの音楽はとてもよく、表現としての全体に有機的に貢献していました。
後でゆっくりパンフをみてみると、なるほど、「薔薇の名前」のプロデューサーだったのですね。「薔薇の名前」は大好きな映画でしたが、「パフューム」もわたしのもっとも好きなタイプの映画でした。満足しました。
ちなみに現在はあまりパルファンを多用しておりませんが、普段使うのは、ジバンシーの「エクストラヴァガンス ダマリージュ」(グリーン、マンダリン、マリーゴールド、ピンクペッパーコーン ウイステリア、ジャスミン、オレンジブロッサム、ワイルドストロベリー、バイオレットリーフ、サンダルウッド、セダーウッド、アンブロックス、ブラックアイリス)とジェニファー・ロペスの「スティル」
(日本酒、ホワイトペッパー、アールグレイ、マンダリン、ハニーサックル、オレンジフラワー、ジャスミン他)です。どちらもわりとさっぱりした香り。今わかったけど、スティルって日本酒が入っていたのね。笑。
映画「パフューム ある人殺しの物語」オリジナル・サウンドトラック
- アーティスト: ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団サイモン・ラトル,メラニー・ミトラノ,ラトヴィア州立合唱団,チェン・レイス,ヴィクトール・デ・マイジエレ,サイモン・ラトル,クリスティアン・ヤルヴィ,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団,トム・ティクヴァ,ジョニー・クリメック,ラインホルド・ハイル
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2007/02/07
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- 作者: イタロカルヴィーノ,Italo Calvino,河島英昭
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 1997/08/01
- メディア: 単行本
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