太宰治〜秋風記より
trututu tuttu 口笛は三度
裏木戸を君は開ける
身に滲みる秋風が僕を
とろり死ぬ夢に誘うよ
trututu tuttu 旅に出る準備
あきらめの優しい指
あさましい愛情に僕は
ざくり死ぬ夢を語るよ
tratata tatta 汽車は行くよ
闇を切り取って行くよ
trututu tuttu 宿命の強度
縛めを解かれぬまま
夕方を降り続く雨が
ぷかり死ぬ夢に浸すよ
tratata tatta 水は行くよ
生命(いのち)追い越して行くよ
熱いミルク 壊れた玩具(おもちゃ)
はだかの君と 鶺鴒のダンス
(かすむ景色 欲しいものはない
ばらばらの躯 抱いて泣いてるだけだよ)
何も今は欲しいものはないよ
trututu tuttu 劣情の在り処
あきらめの優しい指
古い傷痕なぞりながら
そろり死ぬ夢に寄り添う
tratata tatta 水は行くよ
生命(いのち)追い越して行くよ
tratata tatta 水は行くよ
生命(いのち)追い越して行くよ