塗籠日記その弐

とりふねです。ときどき歌います。https://www.youtube.com/user/torifuneameno 堀江敏幸・宮城谷昌光が好きです。

はなむけ

ある若い人に、お祝いとお礼のカードを送り、はなむけに詩をそえた。谷川俊太郎が18歳のときに書いた「ネロ」だ。(詩集「二十億光年の孤独」)二十億光年の孤独 (愛蔵版詩集シリーズ)
大好きな詩なのだが、とにかく何回、何十回読んでも、この一編の詩を、泣くことなしに読み畢るということができない。読みながら息を深く吸うと、空気の味が変わってしまって、何かが激しくこみあげる。「生きている、生きていく」身体の芯をわしづかみにされる。わたしにはおそろしい力をもった詩だ。ブランキー・ジェット・シティの「風になるまで」や「ガソリンの揺れ方」にも似た感じを持ったけれど、やはり「ネロ」はランクが違う。今回も封筒に入れる前に読み返してしまい、結局いつもと同じようなことになった。恐るべし、18歳の谷川。