塗籠日記その弐

とりふねです。ときどき歌います。https://www.youtube.com/user/torifuneameno 堀江敏幸・宮城谷昌光が好きです。

多田智満子遺歌集「遊星の人」

遊星の人―多田智満子歌集
朝日新聞に紹介が載っていた。彼女を知ったのは、中学1年の頃だ。澁澤龍彦の「エロスの解剖」のなかに紹介されていた「光よ海の哄笑よ 若い時間は虐殺された ゆく人よ ラケダイモンの国人に伝えてよ…」(正確ではないかもしれません。)という印象的な詩句に惹かれた。透明、静謐、エロス、遠い時空。その後、訳書のヘリオガバルスまたは戴冠せるアナーキスト (白水Uブックス)や、詩集「蓮食いびと」(だったか?)を買った。10代のあこがれで手に入れたのであって、しっかり読み込んだわけでもない。新聞に紹介されていた歌にも、あの透明、静謐の感はあった。



 みどり濃きこの遊星に生まれ来てなどひたすらに遊ばざらめや
映画「オルランド」のラストシーンを思い出す。
オルランド 特別版 [DVD]


 癌告知は受胎告知にてありしかなわが「子の宮」に癌を祀りて
癌細胞も自らの肉体に来訪した客人、神とする、はるか高みからおりてくるようなさえざえとした遠い視線だ。この遺歌集は欲しいな。高橋睦郎編集とのこと。


神々の指紋―ギリシア神話逍遥 (平凡社ライブラリー)そうそう、これも読んだ。