塗籠日記その弐

とりふねです。ときどき歌います。https://www.youtube.com/user/torifuneameno 堀江敏幸・宮城谷昌光が好きです。

インフルエンザBの精霊と「ふしぎな図書館」村上春樹

ふしぎな図書館
水曜日に鼻粘膜になにか悪い精霊がとりついた、といった感じでアレルギー症状が出たものの、木曜日にはすっかり調子がよくなった、と思ったら、金曜日に熱が出て39度近くになったので、(風邪引いても病院に行く習慣はないのだが)病院に行ったら、やはりインフルエンザでB型だった。(風邪で病院に行ったことがなかったため)インフルエンザになった(そう言われた)のははじめてだ。タミフルを処方される。身体が痛いのもおさまったし、熱も37度台に落ち着く。ほんとうは風邪を薬で治すのは嫌いだ。できればショウガ紅茶でも飲んで、熱を出し切って治したいが、脳がやられたりすると悲しいので薬を服んだ。いつものことながら、食欲は落ちない。これがおちたら危険信号なので、わかりやすい。



寝ているのをいいことに買って熟していた村上春樹の「ふしぎな図書館」を読む。装丁が凝っていて、ぷっくりした表紙は気持ちいい。商売うまいよな、とも思うが。内容は、村上式の「理不尽」な「悪」に見舞われちゃうお話で、細部はなかなかグロい。佐々木マキのイラストの虚無感、浮遊感が、思いのほかのグロさを逆の方向に引っ張る。佐々木マキの絵は、どこまでも生理的に違和感、もっと言えば嫌悪感を感じる絵だが、ひきつけられるところもある不思議なものだ。熱があって身体が痛いような状況に、この浮遊感は合っている。お話のなかに出てくる、村上レシピは、相変わらずおいしそうだけどスノッブ。村上はあのメニューをふだんから食べつけているんだろうな。読者はあの人の書くメニューのことをどう思っているんだろう。