塗籠日記その弐

とりふねです。ときどき歌います。https://www.youtube.com/user/torifuneameno 堀江敏幸・宮城谷昌光が好きです。

「教えること、裏切られること 師弟関係の本質」山折哲雄

いいな、と思う書き手はたいていその名前の姿がいい。って前にも書いたわね。好きだから名前の姿がよく見えるのでしょうね。
買って何年も読まずに二階の奥に眠っていたのを、引っ張り出して読んだ。興味ある人が沢山出てきて読みやすかった。夏目漱石和辻哲郎だの、柳田国男折口信夫だの、棟方志功だの、正岡子規高浜虚子だの。どの章もぱっきり結論づけないというか、ほとんどあったことだけ??みたいなところが、もぞっとするが、それがこの筆者の品のよいとこかもね。弟子持つ不幸、父なる師への恋心(和辻が漱石ラヴとは知らなかったです)、知らぬ顔してタイマンはるライヴァル、究極の「師殺し」、師資不相承、どれもワイドショー的な興味半分で読んでしまいました。後半は法然親鸞を中心に、師資相承の方法について。分割相続か、一子相伝的相続か。キリストとユダ(すべてを受け継ごうとして破滅したもの)、キリストとペテロ(分割相続を選び生き延びたもの)、ブッダとアーナンダの話も出てきておもしろかった。「網野善彦を継ぐ」中沢新一×赤坂憲雄、とか「他者と死者」内田樹とか、いろいろ思い出す。受け継ぐ、受け継がない。引き継ぐ、引き継がない。呑み込んで生かす、呑み込んで殺す。そういうことを考えるのは好きだ。
網野善彦を継ぐ」→http://www.bk1.co.jp/product/2456091/review/342985
「他者と死者」→http://d.hatena.ne.jp/amenotorifune/20041206#p1
        http://d.hatena.ne.jp/amenotorifune/20050129#p2