塗籠日記その弐

とりふねです。ときどき歌います。https://www.youtube.com/user/torifuneameno 堀江敏幸・宮城谷昌光が好きです。

ハゲタカ

お金のこととか会社のことはサッパリわからないが*1、役者がおもしろいので見ている。ことに後半に入って人情噺めいてきたので、わかりやすい。初主役の大森南朋の微妙な表情、押さえた演技もさることながら、なんといっても松田龍平が、時々ぞくっとするほどお父さんに似てきたのに釘付け。学生時代、松田優作を見に映画館に通った身には、感涙ものだ。長身の背の少し猫背気味の肩の辺り、顔の筋肉を動かさずに喋る台詞終わりで、薄く開け放たれた口唇の酷薄な美しさ。かつての優作ファンのおじさんおばさんたちは、我が子をみるような不思議な感懐とともに見守っているのだよ。できれば、いずれはお父さんが開きかけた世界への戸口に立ってほしいなどと祈りつつ。
脇は菅原文太志賀廣太郎など見応えあり、やはり田中泯のたたずまい、眼力、声は最高。栗山千明はおでこを出すと意外と普通で、演技がうまいという感じでもないが、あの「受け口」はなかなか魅力的だ。

*1:とはいえ、「大空電機」の状況など、自分が現在いる状況に多少だぶるところもあり、いろいろ思うこともある。特に、「〜(うー前半忘れた)、何もしないことだよ」という菅原文太の台詞が、残る。