塗籠日記その弐

とりふねです。ときどき歌います。https://www.youtube.com/user/torifuneameno 堀江敏幸・宮城谷昌光が好きです。

光の曼陀羅 日本文学論

よみさしが何冊もあるのに安藤礼二の「光の曼陀羅 日本文学論」をつい読み始める。前書きを読んだあとはまんなかの折口信夫のところから。「死者の書」初稿が単行本になる時に編集(組み替え)をほどこされていること。それによって分かりづらくなった点。この作品が映画的(感覚の再編)であって近代の視点から古代を見かえすものであること。「口ぶえ」「身毒丸」と本質的におなじものであること。シュルレアリスムブルトンバタイユ新感覚派川端康成横光利一(「日輪」を読んでないのが遺恨。)らの作品と重なること。などなど、個人的に興味をそそられる内容満載(シュルレアリスムにしろ、バタイユにしろ横光にしろ、10代20代で興味を持っていたものだった。アルトーの「ヘリオガバルス」とかバタイユの「マダム・エドワルダ」とか読んでいた。)。安藤氏の文体もやさしくここちよい。前半の埴谷雄高(若い頃無理に読もうとして挫折。)や中井英夫夢野久作ドグラ・マグラは映画だけ観た。桂子雀がおそろしかった。)稲垣足穂(10代の頃おともだちの何人かは読んでいたなあ。)など読んでいないので、それについて書かれた前半はまだ読んでいないが、題材未読でもおもしろく読めそうだ。最近になってやっと江戸川乱歩を読んだりしていたが、安藤氏の本で周辺にあったいろいろなものが結ばれる感じ。頭の中が気持よく沸騰してくる。このラインの先に大好きなガルシア・マルケスもつながるだろうか。中井英夫の「虚無への供物」ってすてきなタイトルだなあ。おもしろいのかなあ。アンチ・ミステリーという言葉は恥ずかしながらはじめて知った。
光の曼陀羅 日本文学論
安藤氏のお話し↓。
http://www.tamabi.tv/research/iaa-orikuchi.php?id=179&pn=9