塗籠日記その弐

とりふねです。ときどき歌います。https://www.youtube.com/user/torifuneameno 堀江敏幸・宮城谷昌光が好きです。

浅倉久志さん 逝去

なんだかショック。とてもショック。新刊が出るたび買って読みまくったヴォネガット。そのうちヴォネガットのファンなんだか、浅倉さんのファンなんだかわからなくなっていた。さらば青春。太田光もショックをうけてるにちがいない。フィリップ・K・ディックの電気羊も、スティーヴン・キングの何冊かも浅倉さん。はじめて村上春樹を読んだとき、浅倉久志ヴォネガットのフェイクかと思ったものだった。浅倉さんの仕事は「翻訳」を超えているとヴォネガット=浅倉ファンの友人と話していた。ヴォネガットの訃報のあと浅倉さんの自伝エッセイをアマゾンのカートに入れたままで購入していなかった。無念。ご冥福を祈る。はいほー。さようならブルーマンディ

http://www.tsogen.co.jp/news/2010/02/10021618.html
SF翻訳家・浅倉久志先生 逝去
SF翻訳家・浅倉久志先生が、2月14日(日)午後7時、心不全で逝去されました。1930年3月29日生まれ。79歳でした。

カート・ヴォネガットやP・K・ディック、ウィリアム・ギブスンの翻訳者として知られ、著名な訳書は数限りなく挙げられます。浅倉先生単独で、また伊藤典夫先生との共編で多くのSFアンソロジーを編纂されましたが、特にユーモア小説・ユーモアSFがお好きで『ユーモア・スケッチ傑作展』(早川書房)や『世界ユーモアSF傑作選』(講談社文庫)といったアンソロジーも編まれています。評論書でもジュディス・メリル『SFに何ができるか』(晶文社)、オールディス&ウィングローヴ『一兆年の宴』(東京創元社)といった名著の翻訳を手がけられました。また、海外SFの紹介エッセイや博識なあとがき・解説にもファンが多く、それらの業績は2006年にエッセイ集『ぼくがカンガルーに出会ったころ』(国書刊行会)にまとめられています。

創元SF文庫では1970年にエリック・フランク・ラッセル『自動洗脳装置』(大谷圭二名義)で初めて翻訳をお願いし、メリル編『年刊SF傑作選』(第5集、第7集。大谷名義)、また現在は浅倉名義に変更しているJ・G・バラード『溺れた巨人』、フリッツ・ライバーの『魔の都の二剣士』に始まる《ファファード&グレイ・マウザー》シリーズ等々をお訳しいただきました。また創元推理文庫でも、リチャード・ティモシー・コンロイの『スミソン氏の遺骨』にはじまるユーモア・ミステリ3部作をお訳しいただきました。そういえば70年代には「浅倉さんが訳すとミステリも冒険小説もSFになる」とファンのあいだで語られたものでした。

創元SF文庫での最大のヒット作は、ポール・アンダースン『タウ・ゼロ』(星雲賞受賞)ですが、その後98年に来日したアンダースン氏が、宴席をご一緒された浅倉先生ご自身に向かって「素晴らしい翻訳だった」と絶賛したことが思い出されます。もっとも御本人はそれをまったく聞いていらっしゃらず、のちのちそのことを話題にすると、「へえ、そんなこと言ってたんだ? ほんとに? いつ会ったの?」とおっしゃたものでした。

ご冥福をお祈りいたします。

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)

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