塗籠日記その弐

とりふねです。ときどき歌います。https://www.youtube.com/user/torifuneameno 堀江敏幸・宮城谷昌光が好きです。

みたび「僕の叔父さん 網野善彦」中沢新一

終盤、中沢氏の曾祖父「紺屋徳兵衛」から西と東の差別の様相の違いに発展していくあたりがまたおもしろい。南方熊楠柳田国男「毛坊主考」→紺屋が藍染めに人骨を使う→紺屋と非人の関わり。網野さんの話から精神的DNAが励起し、折口信夫の「葛の花」の歌が口からこぼれる中沢さんがイイ。学者というよりアーティストよね。その歌を「人に踏まれて臓物を出した葛の花」「婆娑羅な光景」と受けとめるところが刺激的。ガルシア・マルケスの「予告された殺人の記録」のラストを思い出した。「終章 別れの言葉」では「精霊の王」が出来上がって送ったとき、病を押して電話口に出た網野さんのエピソードが紹介され、ふたたび涙。涙でした。精霊の王