塗籠日記その弐

とりふねです。ときどき歌います。https://www.youtube.com/user/torifuneameno 堀江敏幸・宮城谷昌光が好きです。

ボンボン ほか

http://www.bombon-movie.com/
金曜、午後から映画「ボンボン」を二人で。時間と気分の都合で、「パイレーツ」をやめ、「家鴨と鴨」をやめ、「ボンボン」を見ることに。ゆるいのんきな作りで大感動はない。しょんぼりな人生の映画は、場合によっては人をさらにしょんぼりさせる。笑いあり。ドッグショーの場面は犬好きには心ひかれるところだろう。アルゼンチンの乾いた風景とドゴという犬の映像はおもしろい。
その後、一人でテンポラリースペースの村岸君の記録展へ。見ることができてよかった。天井から糸でつるされた竹と金属に触れながら歩くと音がする。ご神体も消えて中空構造となった、この明るさと音は神社のようだね、と思っていたら、後で運営しておられるNさんが、他の方と話しながら「神社」云々とおっしゃっていたのがおもしろかった。村岸君が撮った写真や大学の芸術論(美術、音楽)のレポート、書簡類、お友達の撮った彼の姿などゆっくり見たり読んだりする。それを読んでいると、もっとお話ししていたら、と思うが、せんかたないこと。ただのとおりすがり程度で終わってしまったのは自分の不明と感覚の鈍さだね。不在によってしか、存在を察知できないのは。「原初の遅れ、始源の遅れ」ってやつ。ちがうか。わたしはとても好きな展覧会だったので、村岸くんがコクトー展をさほど魅力のないものとレポートしていたのが興味深かった。見ていたら先日ライヴをご一緒した留美さんがやってきてびっくり。彼女が一緒にやったことがあるのは聞いていたけれど、ここでてくわすのはやはり不思議だ。
その後ファクトリーでスモークサーモンとクリームチーズのサンドイッチを買い、(飲食不可なので劇場前で食べ、)エンプロプロデュース「THE RIVER 」@ブロック。ここの芝居は二度目。役者さんも達者で、といってあざとくはなく、きもちよく笑わせる。欲を言えば、女優さんにもう少しニュアンスというか、色気みたいなものがあるとよかった。三途の川の筏の上。狭いスペースで三人の役者が動き回るというミニマルな設定のおもしろさ。ブロックという落ち着かない劇場では、あの空間のまとめ方とてもよい。脚本は古いものらしいが、よくできているのだろう。ラストもべたべたでなくさらりと終わらせたのが心地よかった。well-madeというのかな。
その後パイネ、ひさしぶりにSヨちゃんと会えた。ロシアの知られていない音楽家ピアノ曲で9月にコンサート。チケット80枚のノルマはたいへんだ。Sヨちゃんのお友達のKちゃんの、演劇やバレエの衣装のお仕事の話をきけたのも楽しかった。