お別れの歌
お別れの歌を選ぶのはむずかしい。別れに際してのこちらの心をいくばくか表してくれて、送ろうとする人の来し方になにかしらふれるような部分があって、暗すぎないもの。歌のための歌にならないようなもの。今まで何回かそんな歌を歌う機会があって、その度にあれこれと考える。余興ではあるが、すこしでも感謝を込めたい。過去に歌ったのは「蘇州夜曲」「メモリー」「バラ色の人生」「タイムオブセプテンバー」「ラ・ゴロンドリーナ(つばめ)」「スワニー」「サムフェア・アウトゼア」「待ちましょう」「春よ」などだ。歌った歌を書いてみると、送った人を思い出す。すでに故人となった方もある。
この度はまた、若い頃からお世話になってきた、ほんとうに別れ難い方。はじめに考えたのは「ミラボー橋」、大好きな歌だ。でも暗い。次に「すみれの花咲く頃」、かわいいけど歌詞がどうかな。今考えているのが「桜んぼ実る頃」。しみじみとしたメロディーがいい。一番を原語で歌って四番を日本語で。日本語の訳詞はすでにあるものが今ひとつなので、自作した。今回はじめて知ったが、パリ・コミューンの暗い背景を持った歌だった。手元にレコードしかないので、今日コラ・ウ゛ォーケールの歌ったのが入ったCDを買ってきてしまった。でも、それとはまったくちがえて「SHALL WE DANCE」もいいかな、なんて、また迷う。歌でお送りできることを僥倖と思って歌いたい。