王子さまは草の上につっぷして泣きました
- 作者: Antoine de Saint-Exupéry
- 出版社/メーカー: HMH Books for Young Readers
- 発売日: 2001/09/04
- メディア: ハードカバー
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On est un peu seul dans le desert…「砂漠は寂しいね」という王子のことばに応える蛇のことば、On est seul aussi chez les hommes, 「人の中にいたって孤独は孤独さ」
などは、しーんと心に響きますし、蛇が王子のくるぶしに巻き付いて言うことばーCelui que je touche, je le rends a la terre dont il sorti, 「おれがふれれば、やって来た場所に返してやれるよ」は、優しくもおそろしく、どこかエロティックでさえあります。地球のある庭でたくさん咲く薔薇を見た後、悲しんだ王子が泣く、あの有名な絵のシーン、Et couche dans l'herbe, il pleura, の一文は、内藤訳の「つっぷして」ということばもとても悲しいものとして心に刻まれていましたが、"coucher" という動詞の語感からは、それとはまたちがう深い悲しみを感じます。(王子は悲しいとき日の入りcoucher du soleil見るのが好きでした。)l'herbe の語からはつぶされた草の香りが立ってきそうで、"pleurer"にはぽろぽろとこぼれて止まらない涙の粒の重さを感じました。池澤夏樹、倉橋由美子など新訳が出そろったようですが、電子辞書のおかげで初心者でもこうしてオリジナルで結構な速度で読める、有り難い世の中となりました。(アクサン付きで書くにはどうしたらいいんでしょう。)私の職場のマグはプレゼントされた王子とキツネのマグです。そういえば先日はこんなのも買ってしまいました。2<初級>のほうは今の私にちょうど良かったのですが、5<読む>のほうは、ちょっと無理なレベルでした。
そうそう、フランス語といえば、「ハウルの動く城」はフランス語にして観ると(わかるわけじゃないけど)、ものすごくいい感じです。久石譲の三拍子とフランス語の音がとても合います。ただ、学習の一助に思って、字幕もフランス語にしてみたら、字幕と実際の台詞がまったくちがう(と私には聞こえる)ところが多く、足しになりませんでした。Le Chateau ambulant ドゥ アヤオミヤザキです。